器具・器材・リネン類の洗浄・消毒・滅菌
- 滅菌をかけるクリティカル器具について高水準消毒に漬けることなく酵素入りの洗浄剤に漬け、洗浄するだけでそのまま滅菌して良いのでしょうか?、
- 滅菌や消毒の前の高水準消毒薬による消毒は不要です。
高水準消毒薬(例えばステリハイド)を一次消毒に使用すると安全のような気がしますが、極めて危険な状況になります。ステリハイドに血液が付着した医療器具を浸漬すると血液が器具の表面で凝集し、洗浄ができなくなります。他のいかなる消毒薬を用いても汚れ(微生物や有機物)が器具に付着していれば消毒や滅菌は不確実になります。滅菌前の洗浄は重要ですが、消毒処理は避けるべきです。
洗浄の目的は、汚れを落とすだけでなく、初発菌を減らして滅菌の成功率を上げることです。確実で効果的な洗浄は、初発菌を100分の1〜1万分の1に減らすと言われています。洗浄後には十分なすすぎを行い、洗浄剤などが器具に残らないようにします。それに引き続き、器具を濡れたままの状態で滅菌装置に入れると滅菌が不確実になりますので器具は十分に乾燥させる必要があります。
器材管理は、適切な消毒・滅菌処理を行うことが重要ですが、その処理のみを重要視して洗浄処理が不十分では適切な処理を行ったことになりません。洗浄は医療器材の表面の微生物を除去し、消毒・滅菌の妨げとなる有機物も除去する手段としてとても効果的な方法です。感染対策として消毒・滅菌を行う前処理としての洗浄の重要性を認識することが必要です。