カテーテル関連血流感染対策
- 当院ではCVカテーテルの刺入部に滅菌済のフィルムを貼付しています。
CVカテーテルと輸液セットとの接続部をフィルムで覆うか否か、意見が
分かれています。エビデンスがあれば教えてください。
- CVカテーテルを挿入した場合のドレッシングに関してのご質問です。長め
のカテーテルを挿入した場合等にそのカテーテル全体を覆ってしまいがちで、
それに関連したご質問と推察します。
一般に、血管内カテーテル留置に関連した感染として、@カテーテル刺入部
からの感染、A点滴回路の接続部等からの感染、B点滴薬剤の汚染、C他
の体内感染部位からの菌の転移とに大別できます。このうち、カテーテルあ
るいは点滴ラインの管理に起因する感染は@とAです。
CDCが2002年に出した「血管内留置カテーテルに関連する感染予防のガイ
ドライン」では、「カテーテル挿入部位のドレッシングには、透明で半透過性の
ポリウレタン製のドレッシング材が一般的になっています。透明ドレッシング材
の使用は、器具を確実に固定し、カテーテル部分を継続的に目視で確認する
ことを可能にする」としてカテーテル刺入部の管理について言及しています。
一方、Aへの対策としては閉鎖式点滴回路の使用がありますが、2002年の
ガイドラインではその直接的記述はありません。しかし、現在では多くの急性
期病院で閉鎖式点滴回路が用いられ、回路のハブの汚染などからの血流感
染への対策が行われているところです。
また、CDCのガイドラインでは、点滴回路は使用した輸液の内容にもよりま
すが、輸血や脂肪製剤等を使用した場合には24時間以内の交換が勧められ
るなど、比較的短時間での交換が求められるのに対し、刺入部のフィルムは
明らかな汚染や緩みなどがなければ7日以内での交換が推奨されています。
カテーテル刺入部からカテーテルと点滴回路の接続部まで1枚のフィルムで
覆うことは、点滴回路交換時に必ず刺入部のフィルム交換を行うことになり、
不要なフィルム交換となる可能性があります。
これらを踏まえると、カテーテルと回路の接続部を1枚のフィルムで覆うこと
は、刺入部あるいは接続部の感染対策に貢献しないと考えられ、感染対策と
は別の特段の事情がない限り、それを行う必要はないと言えます。