MRSA・緑膿菌
- 手術前患者にバクトラバンを使用する場合、鼻より9回行うことが有効で、
6回ならばやらないほうがいいのか。また、入院前にMRSAに感染している
か検査したほうが良いのか。
- バクトラバンは、耐性を獲得されやすい抗菌剤です。近年、消化管手術や
MRSA感染が予後に大きく影響する手術では、バクトラバンによる除菌の疫
学的な効果が認められるようになってきています。
6回ならやらないほうが良いのかとのご質問の意味が、「どの手術患者さ
んに対しても6回で良いのか」という趣旨でしたら、不十分な投与プログラム
は耐性獲得のリスクを上昇させるのでかえって有害と考えます。
「本来9回やっているのが、特別な事情のある患者さんで6回しかできなく
なった。その場合はどうか」というご質問でしたら、エビデンスがないことを
説明した上で、有益である可能性がないわけではないが、社会的なリスク
を考えてやらないということで良いかどうか同意を得るべきと考えます。
入院前にMRSA検査を行うぺきかどうかについては、手術患者に限定して
考えると、除菌効果が報告されている一部の手術ではやった方が良いと考
えます。何故なら、術前の在院日数が長いほど術後の感染リスクが高くなる
ことから、多くの医療機関では手術前日の入院が基本となっていると思い
ます。入院後の除菌開始では間に合わなくなるからです。