MRSA・緑膿菌
- MRSA陽性患者(保菌者)の外来通院時に、マスク着用や受診時間を
ずらす等の対応が必要なのでしょうか。
- (a)
気管切開を受けている患者や被膜できない皮膚病変部からMRSAを
排出している患者などは、易感染者が受診する外来の場合、他患者と
待合室の場所や時間帯を分けるなどの対策が必要です。しかし、MRS
Aを周囲に拡散しない通常の保菌者では、外来の待合室などでの患者
間の接触感染の機会は少ないため、そのような対策は不要と考えます。
咳嗽がない場合は、マスク着用の必要はありません。咳嗽のある場
合は、飛沫により手指や周辺にMRSAによる汚染を生じるためマスク着
用が必要です。なお、外来では他患者への感染防止対策として、咳嗽
のある患者さんには、MRSA保菌者の有無に関わらずマスクを着用し
てもらうことが必要です。着用していない患者さんには病院が提供する
のが良いと思います。当然ですが、MRSA保菌者の診察では、標準予
防策に加えて接触予防策を徹底することが必要です。
(b)
MRSA保菌者歩ける人は少ないだろうと思われます。また、MRSA気
道保菌者には、咳嗽反射が弱い人が多いと思われます。当院では外
来通院中の自力歩行可能なMRSA保菌者は殆んどいませんし、また
MRSA保菌者や患者で通院している人が少ないのが現状ですが、貴院
ではいかがでしょうか? 自力歩行できないMRSA保菌者には、介助者が
注意していれば接触感染リスクは抑えられるでしょう。また、気道に保菌
していて咳嗽が少なければ飛沫感染の危険は少ないことになります。
結論としては、感染に対する抵抗力の弱い患者が通院する病院では、
MRSA保菌者に対する接触感染対策や飛沫感染対策が必要かもしれ
ませんが、外来では保菌者に対策を行った結果として保菌者や感染者
が減少するとのエビデンスは、まだ知られていないようです。逆に感染
に対する抵抗力の弱い通院患者の少ない病院では、外来での厳密な
対策は不要と思われます。