MRSA・緑膿菌
- 気切でのMRSAや緑膿菌は、マスクをしてデイルームに出てもよろしいですか。
(感染源の対策・飛沫感染対策)
- (a)
気管切開を受けており、MRSAや緑膿菌を排出している場合は、易感染者
とは隔離の必要があると考えます。気切部を完全に覆うことは困難であり、
また患者の手指などの感染は避けられないと思います。
(b)
緑膿菌は乾燥に弱いので、環境表面が感染源になることはなく、湿潤した
環境や水の周辺への対応が大切です。しかし、MRSAは乾燥した環境表面
に数週間から数ヶ月生存できます。 但し、MRSAの感染経路は、「MRSA患
者に接触した手指」「MRSAに汚染した環境表面」に触れた手指といったように、
手指が感染経路なります。
従って、MRSAの対策は職員及び患者、患者家族の徹底的な手指消毒と
ドアノブなどの手指の高頻度接触表面の拭き取りが大切になります。これら
のことが徹底されなければ、MRSAの気切患者をデイルームで自由に行動
させることは困難と思います。
すなわち、@デイルームに手指消毒用アルコールが設置されていて、頻繁
に使用されている、A患者、患者家族、職員が徹底的にアルコールを使用し
ている、Bドアノブ、スイッチなど手指が触れるところを十分に拭き取っている、
C咳をする患者がマスクをしている、D周囲の免疫不全の患者がいないといっ
たことが確認されていればデイルームに出てもかまわないと思います。
(c)
「療養型病棟には、周術期患者も易感染性患者もいない、抗生剤投与患者
も少ないので菌交代症の危険も少ない」という前提で回答します。
MRSAと緑膿菌は、飛沫感染も接触感染もありうるので、当然この両者の対
策は必要です。しかし、特別養護老人ホームでの検討では、「特に対策なしで
もMRSAの保菌者から他の入居者に広がらない」と報告されている。ご質問の
病棟の患者の状態が特別養護老人ホームと同程度なら、咳や痰の少ないMR
SAや緑膿菌の保菌者に対して、マスクなどをさせるだけでよいでしょう。しかし、
ご質問の病棟に易感染性の患者がいたり、MRSAや緑膿菌患者の喀痰の量
や菌の量が多いなら、やはり飛沫感染と接触感染の対策が必要です。