結核
- 結核検診で、今ではツ反をあまり重視しないと言われていますが、当院では
職員採用時にツ反を行っています。意義はあるでしょうか?(職員のベースラ
インと考えればよいのですが)
- 結論から言いますと、ツ反によるベースラインの確定とそれによる接触者検診
利用は推奨されなくなってきています。
その理由として、ツ反自体のもつ以下のような問題点が挙げられています。
1)ツ反がBCG接種の影響を強く受けるために、日本人では陽性であること
がほとんどであり、職員採用時のツ反で「強陽性」を呈する例も少なくあり
ません。
2)ツ反の手技的な問題。
3)判定の問題。欧米では「硬結」を測定しますが、日本では「発赤径」を測定し、
発赤の範囲の特定が難しい場合があります。
4)非結核性抗酸菌症の中には、ツ反に影響を与えるものがあります。
また、近年QFTが利用可能となり、上記のツ反の問題点が解消されてきてい
ますので、近年はQFTによる職員のベースライン確認が推奨されるようになっ
てきました。しかし、QFTも第二世代のものですと採血から測定までの時間制
限があり、全ての施設で対応ができていない現状があります。また、費用が
高い点も難点です。現在、結核を診療する施設の病棟職員に対して、QFTに
よる確認をしている施設が増えてきています。 現状では過渡期と考え、ツ反
の問題点も理解しながら、「ツ反を利用した接触者検診を利用して疑い例が出
た際には、QFTを確認して潜在性結核感染症治療導入を考慮する」ことが良い
と考えます。