結核
- 結核感染対策として、これまでN95マスクやフィットテストのことを厳しく言われてきましたが、講演ではサージカルマスクでも顔面に密着させて装着すれはよいとのことでした。これは結核感染対策のエビデンスやCDCのガイドラインが変わりつつあるということでしょうか。
- サージカルマスクでもよいというのは断定的なものではありません。サージカルマスクよりN95マスクの方が確実性は高く、排菌が疑われている場合の対応はN95マスクをするのが原則です。しかし、N95をルーズに装着している例がみられる現実があります。一方数年前、SARS発生時に医療従事者はN95を装着するように勧告されましたが、ベトナムなどではN95マスクが間にあわず、サージカルマスクで感染を防御できたという報告もありました。今後、病院では結核のみでなく新型インフルエンザへの対応も考慮する必要がありますが、高価なN95マスクの長期的な備蓄の可能性が問題になっています。N95マスクは適切に装着しなければ意味がないので、高価な機器をいい加減に使う危うさと、少し危うい機器を正しく使う確実さのどちらを選択するのか、組織として求められるのではないかと思います。
結核菌が排菌されている人と至近距離で対応するなど、感染の危険が濃厚な場合はN95マスクを装着してください。しかし、一般病院では排菌していても少量のことが多く、結核の治療開始後48時間を経過すると菌量は経時的に減少しますので、この場合は長時間の装着が不可能なN95マスクよりサージカルマスクを使用するといった臨機応変の対応が現実的です。ガイドラインには書ききれないことだといえるでしょう。