結核
- 透析のため3回/週の通院されている方が、PCR陰性、 チール・ネル
ゼン陰性、ガフキー陰性ですが、本日、結核菌刺激性遊離IFN―γ判
定が陽性であることが判明しました。
保健所への届け出と隔離の必要性について教えてください。
- ○すぐに行うべき対応
「塗沫陰性であるが、QFT陽性である患者」ですので、既に結核菌
感染歴がある例と考えることになります。
@ 保健所への届出については、この患者さんに治療を行う場合のみ
届出が必要となります。
A 隔離に関しては、喀痰培養結果を待つ必要がありますが、現時点
では、不要と考えて差し支えありません。
B もし、喀痰検査で、PCRあるいは塗抹のみ行い、抗酸菌培養検査
がなされていない場合は、日を待たないで、必ず抗酸菌培養検査を行
います。(結核を疑った場合には、抗酸菌培養検査は必須の検査です。)
○数日以内に行う対応
さしあたっての感染対策は不要ですが、患者さん個人について以下の
ことを検討する必要があります。QFT陽性であるので、患者さんの体
内に結核菌が存在している可能性が高く、血液透析例であるので細胞
性免疫低下例ですから、
@ 胸部X線さらには胸部CTを撮影して、活動性と考えられる肺結核
病変の存在の有無を確認すること。
A これまでの結核感染あるいは結核治療歴を確認すること。
以上の結果、
@ 活動性病変が存在すると診断すれば、活動性結核の治療を行い
ます。
A 活動性病変ではないが、結核由来と考えられる病変が存在し、
これまでに結核治療(概ね昭和40年以降にリファンピシンを含む治
療)を受けたことがない患者さんでは、その全身状態などから潜在性
結核と考えられれば、潜在性結核治療を行うこととなります。
これらの場合には、いずれも感染症法に拠る保健所への届出が「直ち
に」必要となります。
○抗酸菌培養検査陽性が判明してからの対応
喀痰培養陽性が後日判明した場合には、当然に、治療ならびに保
健所への届出が必要となります。
このような、事情がありますので、お近くの呼吸器専門医へご相談
されるほうが良いと存じます。