結核
- 院内感染対策以前の考え方の問題かとも思いますが、結核で感染性
が極めて低いが否定できない場合(入院患者)、空気感染対策を施行す
ることの妥当性について教えてください。
過剰隔離も気になります。
- (a)
結核は、塗抹陽性の場合には感染力が強いのですが、塗抹陰性で
培養またはPCR陽性の場合には感染力は極めて低いことが知られて
います。従って、塗抹が陽性にならない限り、重装備で対応する必要
はないと思います。肺および喉頭の結核以外の他の部位の結核も
感染性が低いことが知られています。
従って、感染性を評価した後に対応を決めることが大切と思われま
す。もちろん、検診などにて職員全員の胸部レントゲン評価が毎年行
われていることが前提となります。
(b)
結核の感染力は、喀痰中の菌量(塗抹検査でガフキー号数、または
±、1+、2+、3+)と咳の激しさに比例すると考えてよい。
蛍光染色で塗抹陰性なら空気感染策としての感染個室隔離は不要
です。
喀痰検査は、3回するのが原則です。N95マスクに関しては、臨床的に
結核がかなり疑われれば、他の疾患と判明するか、喀痰塗抹陰性が判
明するまで、マスクを用います。(特に、サクション処置の場合)
(c)
肺結核が疑われるケースでは、接触する可能性のある職員に、結核
の疑いがあることで空気感染予防策の注意を促し、個室管理にしており
ます。所在地でのここ2、3年の年間肺結核発生症例数、特に塗抹陽性
例の数を把握しておくと良いと思います。保健所に問い合わせれば傾向
がわかります。喀痰塗抹が3回陰性を確認するまでは、必ず空気感染
対策を行い、陰性なら大部屋に移します。さらに疑われる場合は、TB
(PCR)も行い、陰性を確認します。陰性でも画像などで疑いが完全に否
定できないケースは、ケースバイケースですが引き続き結核の可能性
を検討します。
塗抹陰性例からの感染もないわけではありませんので、喀痰が出ない
ケースでは胃液培養や胃液のTB(PCR)を行い、結核かどうかを確認して
います。