• HOME
  • 感染対策Q&A
  • 小児科勤務の職員に対するワクチンの接種について

このページを印刷する

感染対策Q&A

ワクチン接種(麻疹・風疹・水痘)

Q
小児科勤務(外来・入院)となった看護師を対象に麻疹・水痘などのワクチン
接種を実施していきたいのですが、接種対象者をどのように決めればよいか
ご指導ください。
ご承知のとおり感染症の対策には、感染源対策・感染経路対策・宿主
感受性対策があり、ワクチン接種は宿主感受性対策の基本となるもの
です。ワクチン接種により、成人が罹患すると重篤となる場合が多い麻疹
や患者数も多く伝播性の高い水痘、妊婦が罹患した場合CRS(先天性風
疹症候群)の危険性がある風疹、またムンプスなどは、その発症や重症
化を予防することが出来ることが報告されています。そのためご質問の
接種対象者としては、職員が感染性病原体に罹患した場合においても患
者に罹患させないため、医師・看護師・薬剤師・検査技師などだけでなく、
清掃業者やボランティア、など臨床現場において従事するすべての医療
従事者と病院で実習する学生を対象とする必要があると考えます。特に
小児科領域にいては、透析や救急領域などと同様にウイルス性感染症罹
患患者に遭遇する可能性が高いため、産科領域と共にワクチン接種を確
実に実施し、職業感染防止を徹底させておく必要があります。
 一般的にワクチン接種は、雇用時もしくは今回のご質問のように予防対
策重点領域に配属される前にウイルス抗体価を測定して、低抗体価者に
対してワクチン接種を実施します。現在のわが国の低抗体価者の現状で
すが、麻疹を例にして以下のように考えます。
 日本で麻疹ワクチンの定期接種が始まったのは昭和53年。それまでは
麻疹は流行を繰り返し、多くの子供が一度は経験する病気でした。その後、
ワクチンが普及するに従って麻疹の流行が下火になり、子供が麻疹にか
かりにくくなってきます。30歳以上の方は子供の頃に麻疹の流行を経験し
ていると考えられ、ワクチン接種をしていなくてもほとんどの人は麻疹の抗
体を持っています。
 近年、10〜20代を中心とした「成人麻疹」(15歳以上)の集団感染が広がっ
ていますが、国立感染症研究所によると今年の成人麻疹の流行の8割は29
歳以下でした。その原因は@免疫の低下(はしかの発生が減りウイルスに
接触する機会が少なくなったため、ワクチン接種による免疫が低下した人が
多い)、A10代後半ではワクチン接種をしていない人が多いことがあげられ
ます。また抗体価測定法は、麻疹、風疹、水痘、ムンプスそれぞれにおいて
若干異なりますが、測定法は補体結合試験(CF)法では接種後1年程度で
陰転化するため、赤血球凝集抑制試験(HI)法もしくは酵素免疫測定法(EIA;
ELISA)法が用いられる場合が多いようです。EIA法はHI法に比較して費用
がかかるものの感度に優れることから、確実に抗体価陰性者をスクリーニ
ングできるため、実質的にワクチンが必要となる対象者を絞り込むことが
できるなどの利点があります。

引用参考文献:
 院内感染対策講習会Q&A (社団法人日本感染症学会):
   http://www.kansensho.or.jp/sisetunai/kosyu/index.html

感染関連リンク

感染対策地域支援相談システム
対象:医療機関・高齢者施設等
院内・施設内感染に関する相談システムのご案内です。
感染管理認定看護師(ICN)による現場での助言・講義も対応できます。
Get ADOBE READER
PDFファイルをご利用になるにはAdobe Readerをダウンロードしてください。