針刺し・血液曝露
- 助産院で搾乳中、母乳が手にかかってしまいました。傷があることにはその時気
づかなかったため直後は手洗いはしていません。あとで3〜5mm位のあかぎれようの傷に
気付きました。該当妊婦の感染症検査の結果がみあたらず、肝炎、エイズ等の感染が心配です。
- 結論は「母乳がアカギレに触れても感染しないであろう。ただし、すべての医療従事者
はHBVワクチンを接種してHBs抗体を獲得しているべきである」ということになります。
母乳の安全性についてはHBVに感染している母親が出産直後に母乳を子供に与えても安
全であることが確認されています。授乳によるHBV伝播の報告はないからです。また、
HCVに感染している母親が子供に母乳を与えても安全であることも明らかとなっています。
それ故、HCVに感染しているということは母乳を与えることの禁忌とはなりません。HCV
はヒトの母乳ではなく、感染血液によって伝播するからです。しかし、HIV感染した女性
は子供に母乳を与えることはできません。授乳によって感染する危険性があるからです。
ただし、HIVを含んだ母乳が傷口に触れても感染することはありません。HIVはHBVに
比較して感染力が低いからです。したがって、今回の状況では母乳による感染はないと考
えます。ただし、医療従事者であるかぎり、HBs抗体は獲得している必要があります。
[文献]
@CDC. Breastfeeding: Hepatitis B and C infections. http://www.cdc.gov/breastfeeding/disease/hepatitis.htm
A CDC. Breastfeeding: What to do if an infant or child is mistakenly fed another woman’s expressed breast milk.
http://www.cdc.gov/breastfeeding/recommendations/other_mothers_milk.htm