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感染対策Q&A

標準予防策・接触予防策

Q
飛沫感染予防を主とした場合、手洗いなども含め接触感染予防も必要となることが多いですが、その場合、白衣などもその対象になるかと思います。
接触感染予防では内容により、ガウン、エプロン、PPEなどが使用されますが、白衣にもMRSAなどの菌やウイルスの付着の可能性は常にあると思います。更衣後の白衣をロッカーにしまい翌日も使用することで、ロッカーや更衣を介して菌を蔓延させるように感じます。手洗いと白衣を毎日変えることが最も基本かと思うのですがどうでしょうか?
必要なことであれば根拠と方針を立て白衣の枚数、クリーニング体制などを検討し実行したいと考えていますので、ご指導をお願いします。
感染対策にとって清潔な白衣は大切です。そのために、汚染を受ける可能性がある処置時には手洗いと適切なPPEを用いて必要な汚染防御をすることが標準予防策であり、接触飛沫予防策です。明らかに汚染されたと判断されれば白衣は交換すべきです。しかし、このような処置後には交換しなさいとか何日目には交換しなさいなどのガイドラインはありません。これは、適切な手洗いやPPE使用を心がければ白衣を介した感染拡大が問題とならないためでしょう。
参考までに細菌の生存期間についてみてみます。大腸菌(O-157)や赤痢菌などのグラム陰性桿菌は乾燥に弱い細菌で、乾燥すると急速に死滅します。ガラス平板上の大腸菌は、乾燥1時間後で1/50以下の菌量に減少することが報告されています。反対に、便などの有機物中のO-157は長期生存し、乾燥状態の糞便中で2か月間も生存できるとされています1)-4)。一方、MRSAや腸球菌などのグラム陽性球菌は乾燥に強い細菌です。これらの細菌は水中では数時間で死滅しますが、乾燥状態では数週間生存できます5)。
尚、以前行われていた白衣へのアルコール噴霧は現在推奨されておりません。これは噴霧の霧がMRSAなどの菌に接触する確実性が低く、消毒効果が不十分であり、引火性や毒性などの観点からも推奨できるものではないからです。
一方、ウイルスについては、風邪ウイルスの環境表面での感染性を調べた報告から、白衣などの浸透性表面では1〜4時間、非浸透性表面では3〜10時間感染性が維持されるとされています6)。インフルエンザウイルスについては、環境中では4〜8時間生存するとされています7)。
(参考文献)
1)J. Hosp. Infect. 19, 191-200, 1991.
2)J. Hyg., Camb. 83, 27-32, 1979.
3)Am. J. Hyg.80, 192-204, 1964.
4)Appl. Environ. Microbiol. 62, 2567-2570, 1996.
5)J. Hosp. Infect. 34, 145-149, 1996
6)CDC: Guidline for Environmental Infection Control in Health-Care Facilities. 2003
7)新型インフルエンザ患者発生後の施設における環境整備について(2009年5月31日) 国立感染症研究所感染症情報センター

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