疥癬・白癬 他皮膚科領域の感染対策
- 疥癬がある人がいる病院に入院していた方が入所してきました。その後、別の
入所者が蜂窩織炎になり、先の方が入院していた病棟に入院しました。その方は
3日後に退院しましたが、再入所にあたり、疥癬の感染の有無について、担当医は
入院時の検査で感染が認められなかったので(退院時に検査はしないが)感染症
扱いにしなくてよいと言われたそうです。
しかし、以前入所後に疥癬の感染が判明して再入院した事例があったため、
介護職が個室管理し感染症扱いで対処したいといって納得しません。
- 一般的に施設内での疥癬の集団発生が起こるのは、重篤な角化型疥癬の
方の発症を契機にしてのことが多いです。人から人への感染力が強いから
です。
1 いわゆる一般的な疥癬(角化型疥癬ではないもの)は、確かに人から
人への感染はあるものの、肌の直接の接触など濃厚な感染がないと
うつりません。
2 今回話題となっている患者さんは、文面からは入所時には疥癬を思わ
せる皮膚症状や所見はなかったようです。疥癬を発症していたとは考え
にくいです。
3 個室への隔離は、大原則として、発症した方に対して行うものです。
ということは疥癬の患者さんと同じ病棟にいたからというだけの理由で、
無症状・無所見の方を個室へ隔離の対象にすることは、筋がとおらな
くなります。
4 個室への隔離は、よほど注意しないと精神状態への悪影響(せん妄
の発症など)・ADLの低下という大きなデメリットをもたらします。つまり、
患者さんの健康にとって害になりえます。これだけのデメリットを伴う
わけですから、隔離をするなら相当の正当な理由と根拠が必要です。
5 今回の件では、質問用紙から頂いた情報から判断すれば、患者さんに
隔離が必要な感染症の証拠が無く、個室に隔離する正当な理由はない
と考えます。