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感染対策Q&A

下痢性疾患・感染性腸炎

Q
偽膜性大腸炎患者の感染対策について、下記の感染対策を教えてほしい。
  @消毒について
  A排泄物の取り扱いについて
  B洗濯について
  C入浴について
  D治療について
  E検査について
  F隔離について
偽膜性大腸炎は、その大半が主に抗生物質の投与に続いておこるCl.difficileのトキシン
による大腸炎ですので、患者の排泄物(便)で汚染されないようにすることがポイントです。
従って、これらに接触する可能性がある場合には、標準予防策に加えて接触予防策(今回、
各医療施設に配布した”医療従事者のための病院感染予防対策マニュアル;CDCガイド
ラインに基づいて”のP3〜6を参照)してください。
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<基本情報>
 C.difficileは嫌気性のグラム陽性菌で、環境状態がもはやその成長をサポートしなくなると
芽胞を形成します。この芽胞の形成能力ゆえに、C.difficileは長期間にわたって病原体を
環境(土壌や乾燥表面など)に存続させることができます。この病原体による環境汚染は
十分に知られており、特に糞便汚染が見られるときには、どこでも汚染されると考えてくだ
さい。実際、C.difficile芽胞による環境の汚染レベルは、C.difficileによる下痢患者の数に
比例することが知られています。従って、C.difficileを排菌している患者には、十分な隔離
予防策と手洗いが必要となります。
 消毒に関しては、C.difficile芽胞を不活化に関しての化学消毒薬について調査した研究は
殆んどありません。また、環境表面の消毒の効果や医療ケア関連下痢の影響を決定する
ための十分にコントロールされた検討も行われていません。しかし、次亜塩素酸ナトリウムの
1:100希釈などを評価した研究者がおり、汚染された環境区域の数が半分になったとの報告
もあります。
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 @消毒について
    感染は、経口感染でおこるため患者の排泄物(下痢便)で汚染されていなけ
   れば、病室・廊下など特別な消毒を行う必要はありません。通常の洗剤で湿性の
   清掃をすれば十分です。患者さんが痴呆であるか、或いは便失禁などで床・ドア
   ノブ・便器などに汚染の可能性が高ければ通常の清掃に加えて0.03%グルタール
   アルデヒド、或いは0.05〜0.5%次亜塩素酸ナトリウムの清掃が有効です。
 A洗濯について
    患者さんの衣服(下着)も通常の洗濯で問題ありません。ただ汚染がひどい場合
   には、廃棄処分にしていただければ良いと思います。
 B排泄物について
    通常のトイレで特に問題はありません。
 C入浴について
    老人で便失禁する場合は、症状が軽快するまではシャワーにしたほうが良い
   ですが、下痢症状がなければ入浴も制限、或いは区別する必要は全くありま
   せん。
 D検査について
    検査には便培養、便のCDトキシンの検査および内視鏡検査があります。CD
   トキシンには、トキシンA(腸管毒素)とB(細胞毒素)を検出する方法がありますが、
   一般の検査室あるいは検査センターでは、前者のみを行っています。この場合、
   特異性には問題はありませんが感度が少し低く(10〜20%は陰性)、またBのみ産生
   する菌には有効ではありません。培養もCl.difficileが嫌気性菌ですので、正しく行わ
   ないと検出率が低下します。
   症状のない人でも3%程度検出されますので、検査結果も下痢などの症状に合わ
   せて評価する必要があります。
 E治療について
    他の大腸炎と同様下痢の程度に応じて禁食、補液として、軽症の場合には現在も
   起因の抗生物質が投与中であれば、これを中止し、正常な腸内細菌叢の回復のため
   整腸剤の投与で回復します。鎮痙剤も避けるべきです。中等症以上の場合には、
   Cl.difficileに対する抗生物質の投与が必要です。保険適用ではありませんが(成人
   では)metronidazole250r、一日4回、10〜14日間の内服投与が安価で、VRE(バンコ
   マイシン耐性の腸球菌)の出現を気にせずにすみます。(欧米で推奨される処方で
   す。)保険では(成人では)バンコマイシン125r、一日4回、10〜14日間の内服投与
   が一般的です。保菌の状態を完全になくすことは困難なことが多く、20%程度に再発が
   見られます。
 F隔離について
    隔離は、一般的には全く必要ありませんが、痴呆があって便による環境が汚染され
   る可能性のある患者については、行ったほうが管理しやすいと思います。

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