多剤耐性菌対策
- 抗菌薬への耐性はどうやってほかの細菌にうつるのですか?
- 細菌の増殖には、増殖の設計図として染色体にある遺伝子が必要です。細菌は染色体上の遺伝子のほか、染色体の外にも遺伝子をもっています(これをプラスミドといいます)。プラスミドは細菌から細菌へ「話をする」かのように細菌の種類が違っても乗り移ることができます。
抗菌薬耐性という特徴は遺伝子の一部分として管理されています(これを耐性遺伝子といいます)。耐性遺伝子は、染色体上の遺伝子やプラスミドに遺伝子の一部として組み込まれています。
染色体上の遺伝子の耐性遺伝子は、細菌の増殖時に再生産され、同じ種類の細菌に薬剤耐性をもたらします。これに対し、プラスミドの一部である耐性遺伝子は、種類の違う細菌へ乗り移ることができるので、耐性である特徴(多剤耐性)をより多くの細菌に効率的にもたらします。
このような細菌のもつ巧みなメカニズムに加え、我々人間が、多くの種類の細菌に効力のある抗菌薬を長期間にわたって使用すると、これらの抗菌薬に耐性をもつ菌のみが生き残れることなり(これを抗菌薬による選択圧といいます)、結果として、耐性菌の蔓延を助長します。